で、そのてっぺん。暗がりの中からこのタワーがいきなり現れたときの衝撃はかなりのものでした。中国ではそれほど感じなかった社会主義の姿を見せつけられた。そんな街の姿の異様さとはうって変わって、街には色鮮やかな民族衣装を身にまとった女の人があふれ、昼間にはこのタワーはアシガバードの人たちの絶好の観光スポットに。撮影屋さんの前で体をがちがちにふるわせて緊張している女の人がいたり、1国の首都といえどまだまだあか抜けておらず、イスラムの社会が強く残っている。アシガバードとは、「愛の街」という意味。バザールに行って、ぬるいコーラを飲みながら腰掛けて休んでいると、横に座った10歳ぐらいの女の子がニヤゾフ大統領の顔がかかれた箱を開けて、香水の瓶を取り出して見せてくれた。品のかけらもないでかい瓶だったが、彼女は満足そうに紫のベールの下から笑顔をのぞかせていて、その瓶を大事そうに抱えて帰っていった。帰る途中も時々ふりかえって見せてくれるその笑顔を僕は忘れない。