軍事停戦委員会会議室。南北国境線をまたぐ形で7棟設置されている。水色の小屋は韓国側の管理に置かれている小屋。国境線の向こう側では、迷彩服を着た国連軍兵士が、三脚に望遠鏡を据え付けてこちらをずっと見つめている。さらにもう一人、国連軍兵士がハンディカメラをもってこちらを見ている。向かいの大きな建物にも複数の監視カメラが。それら全てが人民服を着た怪しい観光客にスコープされている。気分はすっかり蜂の巣状態。さすがにこれは緊張する。ここで韓国側に駆け出す等、変な挙動を取れば、一瞬で取り押さえられることは間違いないだろう。ちなみに、韓国軍は濃緑の服にサングラス(なぜ?)にヘルメットといういでたち。
ガイドさんが教えてくれたのだが、1996年11月24日、ちょうど7年前のこの日は、金正日総書記が最後にここ板門店を訪れた日とのことだ。何でも、その日はこの後ろにある板門閣に上って、この会議室を見渡していたらしいのだが、霧が立ち込めていたため、韓国側では金正日総書記の訪問に全く気づかず、その後の報道を見てびっくり仰天、以後監視体制を強化させたという逸話が残っているらしい。確かに、板門店の入口にある展示物を見ると、この日金正日総書記がここを訪れたことになっている。金正日総書記は天候までも味方につけ、霧で相手にその訪問を悟られなかった云々と語られている。そんな意義深い日に、この板門店を訪れたことを光栄に思いますと、先ほどのガイドさんは、私に語ってくれた。どういたしまして。