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おいおい

1999年12月29日日経新聞朝刊「この人 ひと言」より

    「自分に国家を率いる権利がゆだねられるなら、こたえる用意がある。」トルクメニスタンのニヤゾフ大統領が27日、2002年の次期大統領選に出馬する意向を表明して

これはまたなんと控えめな。町中に自分の肖像画を飾らせている人とはとても思えない謙虚なお答え。選挙違反疑惑でやり玉に挙げられるウズベキスタンのカリモフ大統領よりも遙かに自己顕示欲が旺盛で、外見上は権威主義的に見えるのだが。もちろん、他に人がいないという要素や、旧ソ連邦という要素がそうさせるのだろうが、大統領のカリスマ性を信じて疑わない人は大勢いるわけで、ウズベクのブハラであったおばさんのことを思い出す。このおばさんにはトータルで1日ぐらいお世話になったのだが、自称ガイドというわりにガイド料はご自由にというこういう国にしては珍しく控えめな人だった。その代わりに食事はあんた持ちねという感じで半ば強引におごらされ、お金じゃなくて食事目当てなのかと思わせるようなちょっと変わった人だったのだが、「腹減った、茶飲まない」をくりかえされつつもいろんな所を見せてもらった。さんざんそんなことをいわれてもどこか憎めないのは、警官を筆頭に金、金という人が多い中でそういうたかり(?)は妙に生活感を感じさせたからで、外国人を連れながら「あのソーセージがどうのこうの」とか「食事の用意をしなきゃ」とか話しかけてくるアンバランスさが妙に面白かった。郊外のチョル=バコルに行ったとき、夕暮れが迫る中いつ来るともわからないバスを2人で待っていたが、そのとき突然「この国の将来どうなると思う?」といわれ、僕は割と思ったとおりに「経済的にはちょっと問題が・・・。」などと話していたのだが、「最近はパンの値段も上がってばかりでどうなるんだろうね、この国は。でも、カリモフがいるから、きっと良くなるに違いないわ。」と言われたのがすごく印象的で、旧共産党とはいえソ連の支配を打破したという劇的な変化を導いたそのカリスマ性はかすむことなく、やはり心のよりどころになり続けるのだろう。まぁ、なんにせよ、ニヤゾフ君は次期大統領の任期を終えるまでの間に今度は何を作ってくれるんだろうかね。あんなタワーまでおったてちゃった次に彼の自己顕示欲を満たしてくれるものって、いったい・・・。まるで、シムシティ状態。

(99.12.29)